甲殻類の甲にはアスタキサンチンだけではなく、カロチノイドがタンパク質と結合したカロチノプロテインも含まれていて、この結晶の色(青や紫)と多少が、全体の体色に影響します。
魚類や両生類、爬虫類等、(先天的な)皮膚の色素胞によって体色が決まるのとは、少し違っていて、餌に含まれるβカロチン等から体内で生成されたカロチノイドやカロチノプロテインが、甲殻類の体色を決定しているのです。
ちょっと前に流行りましたよね。ザリガニを白くする実験。
ザリガニにβカロチン等のカロチノイドを含まない餌をやり続けると、次第に青っぽくなっていき、最後は白くなるというもの。これはカロチノイド不足のため、甲からアスタキサンチンが減っていって青くなり、次にはカロチノプロテインも不足して白くなっていくというもので、小学校の理科部などで細々と実験されていたものが、奇想天外な某動物番組で取り上げられ、一気にアメリカザリガニの大虐待へと繋がったものです(^_^;)
あ、そうそう。なにげに「青っぽくなっていき、白くなる」と書いていますが、甲殻類の場合は、脱皮ごとに甲の色が変化していくので、その辺りはお間違え無きように。
要するに、オカヤドカリも人為的に白くしようと思えば出来るわけです。いや、出来るかな?
ニンジンや芝エビなど、オカヤドカリが好む、しかも必要とする餌をずっと与えないでおいて、尚且つ年にせいぜい一度か二度しか脱皮しないオカヤドカリを、何度も脱皮に成功させるまで生かせるのだろうか(~_~;)
ところで、何ですかね。最近はネットオークション等で“白系アーマン”とかいうのが人気だそうで、あのぅ、ナキオカヤドカリもムラサキオカヤドカリも、甲長2、3センチぐらいまでは白いのが多いんですけど、何を慌てて入札しておられるのか意味不明ですが…。
もっと大きくなっても白いままというのは、確かに多少は珍しいかも知れない。例のケバケバのペイント貝殻。あれに入るサイズでも白いというのは、(クリーム色を除けば)数十匹に一匹ぐらいかも知れない。
でも、遺伝的に白いのは、要するにオークション用語で言う「本当の白変個体(爆)」の偽物でないものは、果たして本当にいるのだろうか。つまり、オークションで運良く“白系アーマン”を落札した人の、一体どの程度の人が、ニンジンやエビをオカヤドカリに与えることが出来るのか(小松菜もダメだよ)。この辺りは、甚だ心もとないことです(^_^;)
ま、正真正銘、正味の【本当の白変個体】を入手されたラッキーな方がおられたとしても、(人為的な白ザリガニではない)ホワイトザリガニの様に「繁殖させてアルビノオカヤドカリで一儲け」という訳にはいかないので、騙された人も気を悪くしないようにしましょうね。