2006年12月31日

今年は後半激動の年でして…。

色々な方にご心配をおかけしましたが、プアマリナは元気です。ご安心ください<(_ _)>
一部の方には、むしろとても残念な情報ですかね(^_^;)

さて、先日Deca-Jで環境省のレッドリスト改定に関する見解をアップしたのですが、さっそくそれに関連する情報をいただきました。

沖縄県が動植物保護条例制定へ

要約しますと、県内の希少な野生動植物を保護するために、現行法(種の保存法)では限界があるため、条例で規制しようという動きがあるということです(2008年4月施行予定)。
沖縄県版RDBを規準に「指定希少野生動植物種」をリストアップし、捕獲・採取、開発の一部(!?)と立ち入りを禁止しようというもので、悪質な違反行為については1年以下の懲役、または50万円以下の罰金という厳罰を科す方針だそうです。

私の正直な気持ちですが、非常に複雑です(~_~;)
我国の希少な生き物が“レアもの”と称して、ネットオークションを中心に乱売されている状況に胸を痛めていましたが、そのことに警鐘を鳴らし続けてきたのは、不心得者たちに厳罰を科して欲しいからではなく、むしろ逆。
何事も規制・厳罰の世の中になっては、私自身一飼育者として哀しすぎるという思いがありました。
こうなる前に販売業者にも、飼育者にも、自主規制して欲しいということを繰り返し訴えてきたので、非常に残念です。

また釈然としないこともあります。
我が国内の希少野生動植物が絶滅の危惧に晒されている原因のほとんどは、採取圧ではなく、棲息環境の急速な減少・悪化です。つまり捕獲・採取に厳罰を科しておきながら、主要因については、施行前から“開発の一部制限”というエクスキューズを設ける意味が解りません。
一部に、この条例施行の目的は希少野生動植物の保護ではなく“琉球諸島の世界自然遺産登録”推進活動の一環だという噂もあります。
もちろん、ことはそんなに単純なものではないでしょうが、我国の官公庁には、世界遺産=世界に遺すべき宝ではなく、観光収入ガッポガッポと捉える傾向があることにも危惧があります(~_~;)

とはいえ、ネットオークションの惨状はあまりにも酷いものですから、今まで“悪者どもの狩り場”同然だった沖縄としては、当然の条例施行とも言えます。“レッドリストに指定しただけ”では、単に商品価値を高める役にしか立っていなかった今までのことを考えると、微妙に前進と言えなくもありません。
まあ、リストアップに関しては、また諸々の利権や大人の都合が絡んで、妙なことになるのは目に見えていますが…。

ちなみに、沖縄県版RDBにはサキシマオカヤドカリ、オオナキオカヤドカリ、コムラサキオカヤドカリ、ヤシガニなどの種名も見えますが、これらのリストアップに際してまた“文化庁の壁”が立ち塞がることのないように祈ります。
もっとも、これらが絶滅の危機に瀕している要因も、採取圧ではないのですけどね。もともと少ない種もいますし…。


posted by プアマリナ at 12:17| 沖縄 ☁| Comment(5) | TrackBack(0) | 棲息環境と飼育環境と暮しやすさと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月28日

オカヤドカリの砂

生き物を飼う前に、自分がその生き物の自然界での暮らしぶりを前もって知っておくのは当然のことですが、それは果たして「生き物にとって暮しやすい」環境を作るためでしょうか。
間違いではないのですが、ここに拘ってしまうと生き物の飼育は失敗することが多いのです。何故なら天然自然の、その生き物が暮している環境を忠実に(一般家庭で)再現するのは無理。あるいは見た目だけ真似できたとしても、それが生き物を健康的に生かすことには直結しないからです。
自分が飼う生き物の生態についてよく知ることは絶対に必要なことですが、生き物の棲息環境と飼育環境を直結して考えることは危険な場合もあるのです。もちろん生態も知らずに、身勝手に「暮しやすい」とか「住みやすい」とか考えるのは更に危険ですけどね(^_^;)
(俄にポッと出た専門店とやらが、適当に他の生き物用品を流用した)“専用品”とやらの詐欺紛い商品を、しこたま買わされてしまう恐れがあります(~_~;)

seisoku.jpg
例えば「オカヤドカリの砂」で考えてみましょう。
オカヤドカリは南の島のビーチで暮していると、勘違いしている方もおられるかもしれませんが、それは間違いです。そりゃ餌や貝殻、海水等を求めて砂浜をうろつくことはあります。それにテレビ等で紹介される時には、繁殖のために海岸にウジャウジャと集まってくるところを撮影されることが多いので、なんとなくイメージとして“砂浜の生き物”と捉えてしまうのも無理はないのですが、実際にオカヤドカリが砂浜で暮していたとしたら、鳥などの外敵に食い尽くされて、アッと言う間に絶滅していますって(^_^;)
では、何処で暮しているのか。それはオカヤドカリの種類によっても色々ですが、我国の一般消費者が入手可能なムラサキオカヤドカリとナキオカヤドカリに関して言うなら、海岸の常緑小低木(アダン等)が繁茂する森の中(地面は砂より、むしろ土)。その森の木の根元や岩の隙間等で暮しています。
木の根や岩などのガッシリ根を下ろした物と土との隙間に、穴を掘って穴居している場合もあります。
皆さんが飼っているオカヤドカリが、ケージ内に入れてある流木や水入れ等の根元を掘り起こして、せっかくの“苦心のレイアウトが一晩で台なし”なんて経験はありませんか?
これはオカヤドカリの、その習性から来ていることです。

p1.jpgならば飼育環境でも砂より土。と言いたいところですが、実際には私も砂を使っています。しかも海岸から採取してきた海砂(珪砂)です(^_^;)
単純な話しです。水槽という狭い環境でオカヤドカリという「高温多湿」の環境で暮す生き物を飼育する場合、土を使ってしまうとエライことになります。ベチョベチョになって固まってしまいます。汚れたから掃除しようと思っても簡単には行きません。
つまりメンテナンス面も考えて、妥協策として砂を使っている訳ですが、もちろんそこでオカヤドカリの生態について考えれば、流木の根元を掘っても崩れにくい、あるいは脱皮の際に砂に潜っても崩れにくい砂の種類と粒の大きさは自ずと決まってくる訳です。
私の考えで行くと、オカヤドカリ飼育に適するのは「細かい珪砂」と言いたいところですが、メンテナンス面を考慮すれば細かすぎるのも考えもの。同様にメンテナンスのしやすさではサンゴ砂も捨てがたいものがあります。
結局、どの砂が良いかの答えにはなっていませんね。すみません(^_^;)
ただ、オカヤドカリの生態を考えれば、パッケージに「オカヤドカリの砂」とか「オカヤドカリ専用」と書かれているからと言って、それが最適かどうかは瞬時に判断できますね(^_^;)
posted by プアマリナ at 16:26| 沖縄 ☔| Comment(9) | TrackBack(0) | 棲息環境と飼育環境と暮しやすさと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする