2005年10月25日

飼育者ができる有限資源の保全

この時期、オカヤドカリ飼育者には寂しい思いをしている人が多いでしょう。
季節の変わり目で昼夜の温度差が激しいためなのか、もともと自然環境下でもこのリズムだったのか、飼っているオカヤドカリが一斉に潜ってしまっている人も多いと思います。
あるいは、夏場には元気だったのに、原因不明の死によって愛ヤドの数を減らしてしまった方もおられるかもしれません。

動く生き物のいなくなった飼育ケース。
あんなにゴソゴソ動き回っていた可愛らしいオカヤドカリ。毎日、色々な表情や仕草、ズッコケっぷりを見せてくれていた生き物が、急に火の消えたようにいなくなるのは、とても寂しいですね。
「まだ売ってるところがあるのなら、新しいのを追加購入したいな」
その気持ち、とてもよく解ります。
しかも、ネットなどで情報検索すると“オカヤドカリは自然界では群れで生活しているので、たくさんで飼った方が良い”といった記事もあります。
「なるほど。じゃあ、やっぱりもうちょっと多く入れても大丈夫だ。むしろ、もっと入れたほうが良いんだ」
そう自分を納得させたい気持ち、これもとてもよく理解できます。

でも、少し冷静になって考えてみてください。
この時期(だけではないが)購入したオカヤドカリは、やはり(店頭展示→飼育ケースへというのも含み)環境の変化により、すぐに脱皮に入るケースが多いのです。買ってきた日すぐに砂に潜ろうとするものもいます。
すぐに潜ってしまうので、また寂しい思いをすることだけが問題なのではありません。
新しく入れたオカヤドカリが掘り返している砂の中には、脱皮中の無防備な先住者がいるのです。そこを掘り返されたら、先住者はどうなるでしょうか。
また、脱皮事故が起こらなかったとして、全ての(先住者も新入者も)オカヤドカリが無事に脱皮を終えたとしたら、どうでしょう。あまりにもたくさんの数のオカヤドカリがいれば、脱皮に関係なくとも喧嘩を防げません。
貝殻の取りあい、餌の取りあい、必要な栄養分…。足りないものがあれば、オカヤドカリという生き物は手近なところから調達しようとします。つまり横にいる仲間から奪います。
周りに同じような貝殻がたくさんあるにも関わらず、仲間の貝殻を奪おうと3日以上、相手を押さえ込んでいたオカヤドカリを、私は見たことがあります(無理矢理引き離したら、すぐに別の貝殻に引っ越したのですが、押さえつけられていた方は歩脚を一本食いちぎられていました)。

私も飼育者の一人ですから、たくさんのオカヤドカリを飼いたい気持ちは充分に解ります。
ですが、購入に踏み切る前に、少しだけ冷静に考えて欲しいのです。今のままで数を増やして大丈夫なのか。それとも新たに飼育ケースがいるのか。
生き物を買ってから、飼育システムを考えるのは、泥縄の悪循環ですしね(^_^;)
自然下で群れているオカヤドカリ(仲間に襲われても逃げられる、群から離れて脱皮場所を確保できる)と、店頭で多数展示されているオカヤドカリ(餌も水も与えないので脱皮する体力も争う気力もない、しかも短期間の詰め込み)と、飼育下での複数飼育のオカヤドカリ。
これら3つは、全て同列に語れるものではないということも、念頭に置いておいて欲しいのです。

いくら現地に行けばウジャウジャいる(と言われたのも数年前までの話らしいです)生き物でも、必ず数に限りのある大切な、同じ地球の仲間です。
非合法でない限りは、商品として扱うことに誰も反対しませんし、できませんし、その扱い様を批難することもできません。ただ、飼育者のレベルで“少しだけ冷静に”なること。それさえできれば、限りある資源を守れるのです。
そのことを、少しだけ考えてみませんか?


posted by プアマリナ at 16:11| 沖縄 ☀| Comment(2) | TrackBack(1) | 海水魚飼育とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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