2005年09月28日

凄い技だ!

3年殺しというのは伝説の技ですが、きっちり3年とはいかなくとも、外から見ただけでは判らない様な巧妙なダメージを与え、徐々に体の内部から弱らせ、ある日突然斃死に至らせるということは、武術の達人なら本当に可能だそうで。
別に「あたぁ! お前はもう死んでいる」の世界だけじゃなくて。現実に。

話は変わりまして、何年も前から、私の知り合いにはオカヤドカリを飼育している人が少なからずいましたが、当時から昨年辺りまでのオカヤドカリの死因などは限られたものでした。脱皮時の管理不足による食殺(死後か生前かは不明)か、餌や水をやるのを忘れたための餓死・乾死。
これ以外の死因はおろか、(POPで脚が取れてるのを除けば)自切でさえ、聞いたことも見たこともありませんでした。
余程の失敗でもしない限りは、ずっと生き続ける生き物です。我家でも最初に買ったオカヤドカリが今でも生きています。だから、ここ何年かオカヤドカリを店で買ったことがありません。
そもそも私の周囲のペットショップでは、売れないからかオカヤドカリは姿を消していましたし…。

ところで、市場で製品がなかなか回転しないと、消費者は良くても供給側は困るので、最初から耐用時間を短くしておくというのは、よく使われる手だそうで、鍋やフライパンなども技術的に“数年間は絶対に焦げ付かない”物が作れるにも関わらず“焦げ付きにくい”物しか売られていないのは、そのためもあるそうです。
メーカーでさえこうなので、販売店レベルでの達人になると、商品を素早く回転させるための“凄い技”をいくつも隠し持っていて、本来なら耐用年数のあるものに巧妙なダメージを与えておき、クレームにならない時期を見計らって壊れる様にすることも可能なんだそうです。
「クレームどころか、客は相談に来おる。そこで親切にアドバイスしてやって、時機を見て新しいのを薦めたったら、すぐまた買うていきおる」
だ、そうで。悪いやっちゃなぁ(-_-メ)

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posted by プアマリナ at 14:05| 沖縄 ☀| Comment(3) | TrackBack(0) | モノ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月13日

カトリーナのもたらしたもの

ニューオリンズで、たくさんのペットを愛する人と、飼い主を愛するペットが、非常に困難な状況になっている様です。
詳しくは、こちらをご覧ください。
心ある“全く個人”の方による解説書(和訳)ですが、この手順を元にすれば、簡単に送金できます。
posted by プアマリナ at 14:04| 沖縄 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | モノ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月08日

読切り編:県警外事課

 県警外事課長の一山は、呟いた。
「おかしいやないか。何が起きとるんじゃ? もういっぺん説明せい」
「それが課長。奇妙なお経が聞こえてくるそうなのでありますが…」
「それは聞いた。頭を言ってくれ、郁道くん」
「は、つまり果物屋の店先で、であります」
 一山は、眉を寄せる。ただの果物屋でないことは掴んでいた。夜ごと数多くの殻をかぶった霊が現れ、しかもその中には明らかに不法入国したと思われる外国産の霊も含まれているという。だからこそ外事の出番になったのだが…。
「霊を調伏するためじゃろが?」とは言ったものの、もちろんそんなはずはない。「いや、あの冷酷非情な男に、霊を成仏させたろっちゅう善意があるとは思えんな」
「は、しかもであります。昨夜は多数の僧侶が近くで目撃されておりますが…」
「なんじゃと? 僧侶の集団!?」
 背中を冷たい汗が流れる。その時、目の前の電話が鳴った。更に嫌な予感を感じつつ、彼は受話器を上げた。部下にスピーカーをオンにするよう手で示す。
「やあ、南畝くん。口子だが、先日の件の続報を伝えておこうと思ってね」
「こ、これは…。先日の件って、あのフジコTVプロデューサー失踪事件ですか?」
「いや、それはもう埋葬済みだ。この意味は解るね?」
「は、はい」今やシャツの背の色が変わるほど濡れている。「フジコTVって何チャンネルだったか、さっぱり解りませんねぇ」額にも浮かんだ汗を必死でぬぐう。「で、口子さん。何の話でしたっけ?」
「もちろん、例の果物屋の件だ。あれは加藤改の管轄になったよ」
「か、かとうあらためが…」一山は息を呑んだ。なぜカンキー和尚が…。
 確かに尋常の業者ではない。たかだかの色変わりでオカヤドカリの値段を吊り上げる悪辣な手口も野放しにできるものではない。だが、変わった色のものを欲しがる消費者だっている。アジアアロワナやクリスタルレッドシュリンプだって、いや金魚でさえ、ちょっとした色の違いでグレード分けされている昨今だ。カンキー和尚部隊が動くほどのことなのだろうか…。
「その疑問は尤もだ。だがな南畝くん。甲殻亜門の体色とは何だ。カロチノイド系の赤色色素アスタキサンチンに、青や紫といった色の結晶を生ずるプロテインが結合したものだ。その結合の強度や色素の多寡によって様々な見た目の色を呈するわけだが、これは棲息環境や食物による影響を強く受ける現象だ。つまり棲息環境や食物が変われば次の脱皮によって変色する」
「ちょっと待ってください」一山は部下の方を向く。「おい、メモは取らんで良い。どうせにわか仕込みだ」
「聞こえたよ。南畝くん。その通りだが、続けよう。棲息環境や食物による獲得形質が遺伝しないのは知っているな? オカヤドカリにも遺伝的要因で様々な変色が見られるのは当然だが、CRSの様に赤色の強い個体を何世代にもわたって淘汰し、純粋培養し、変色を固定していかないかぎりは、そうそう珍しい色が商売になる訳はない。しかもオカヤドカリの繁殖は個人飼育者レベルではほとんど不可能だ。数千円から数万円の費用を使い、毎日小まめなメンテナンスを行い、数百匹のゾエアを数匹のグラウコトエにするのがやっとだ。しかも、その数匹の中に強く変色遺伝子を受け継いでいる子孫が混じっている可能性となるとゼロに近い。つまり投機的価値は全くない」
「なるほど。高値で落札したもののすぐに変色する可能性が高く、例えちょっとばかり珍しい色であったとしても一代限り…。まさに詐欺ですなぁ」
「そうだ。だが、この程度のセコイ詐欺事件で加藤改が動くはずはない。グラウコトエが繁殖できる大きさに育つまで何年かかると思う? それに気付けばネアンデルタール人以上の知能を持つ生き物なら、恥ずかしすぎて生きてはいられないはずだろ」
「二足歩行を憶えて後は、首を括りたくなるほど恥ずかしいことだという意味ですね?」
「いや南畝くん。アウストラロピテクスは既に二足歩行していた。訂正したまえ」
「すみません。要するに我国にネアンデルタール人が生き残っていては問題があるので、外事の私に話が来たのですが、実はアウストラロピテクスだったのでカンキー和尚部隊の管轄に変わったということですね?」
「ややアウストラロピテクスに失礼な表現だが、当たらずと雖も遠からずと言ったところだな」



【今回の登場人物紹介】
一山 南畝(ひとやまなんぼ)=県警外事課長。
郁道 温(いくどうおん)=一山の部下
口子ボス(ぐちこボス)=二課長。島の上司。

【会話に登場した組織の解説】
加藤改カンキー和尚部隊(かとうあらためカンキーおしょうぶたい)
俗姓加藤、得度後カンキー和尚を名乗る謎の人物に率いられた特殊部隊。かなり情け容赦のない手段を採ることで、その筋では有名らしい。蛇足だが部隊の英文表記は「Team Kanky osho」。
posted by プアマリナ at 19:34| 沖縄 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | デカ長:島 奥作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月05日

二課長に取り次ぐまでもねぇ!

「どうです? 我々はちゃんとした報道をしたでしょう」
 したり顔で現れたフジコTVのプロデューサーに、島の怒声が飛んだ。
「何を抜かしやがる!この外道が! オカヤドカリはペットとして飼いならされた生き物じゃねぇ!人間と友達にはなれねえんだ。それをなんだ? 癒し系ペットとは、一体全体どういう料簡で報道してやがる」
 プロデューサーの顔色が急変した。
「で、でも、ちゃんと茶の間に伝えたじゃないですか。愛情を込めて育ててあげなければいけませんよって…」
「クソ野郎! そんなことは胡乱な詐欺紛いカルト業者でも、腐るほど言い続けてんだよ。良いか、よく聞け。生き物活かすに身勝手な愛情なんてのは要らねえ。手順と自覚と常識さえありゃ良いんだよ!」
「し、しかし、病める現代人には癒しは必要では…」
「なら、てめえのピーでも勝手に愛情込めて育てとけ! そんな変態野郎を癒すのに貴重な野生動物をばんたび殺さにゃならん理由が、どこあんだ?」
「い、いや、しかし、いじり倒したからって、必ず死ぬとは限らないじゃないですか」
「死ぬんだよ。この俺にイビリ倒されたテメェが明日の朝には冷たくなってるのと、同じぐらい確実なことだ。おい、阿有。一応権利ぐらいは読み聞かせてやれ」
posted by プアマリナ at 19:47| 沖縄 ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | デカ長:島 奥作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月01日

緊急番外編:記者会見

「我国の天然記念物オカヤドカリの捕獲は、一部の許可を得ている業者のみが行っている。捕獲方法は餌で吊って無作為に採取するだけだ」
 口子は全く臆することなく報道人のひしめくフロアを傲然と見渡した。
「取り子 --要するにパートだな-- が、無作為に採取し、許可業者が無作為に出荷し、出荷トン数で分化庁に届け出ている。ところが、近年では変わった色やベビーヤドなどといった、ひとたび脱皮すれば並のオカヤドカリになってしまうような代物が、オークション他で高値取引され、珍種・奇種コレクターの様な飼育者も現れている。もちろん、多くの良識的な愛好家は、高値取引されていることが詐欺に近いことを知っているが、残念ながら知らない○○もいるようだ」そこで片頬にニヒルな笑いを浮かべる。「おい、解ってるだろうが、○○はオフレコだぜ」
 口子の弁は続く。
「昨今では、取り子や捕獲許可業者の中にも、変わった色や小さなオカヤドカリが高く売れることに気付き始めたところもあるようだ。売買の段階だけではなく、採取段階で珍種・奇種が珍重されるようになった場合、表に現れてくる届け出数の陰で、その数倍の命が無駄に廃棄されることは、国内外での他の生き物の例を見ても既に結果の出ていることだ。増してや厳格な捕獲規制のある --;並の色で大きさの-- 天然記念物がたどる運命は、それこそ悲惨としか言い様がない!」
「しかしですねぇ、課長さん。色変わりはともかく、ベビーヤドとやらは別に環境には影響ないんじゃないですか?」
 明日新聞の記者から、尤もらしいアジが飛ぶ。口子はそこへ一瞥をくれると、また真正面を向き、口を開いた。
「キサマらの盆も暮も解らん頭に言って聞かせるのもおこがましいが、分化庁への届け出は匹数ではなくトン数でだ。小さいほど高く売るセコい業者には有利な条件だ。昨年辺りから販売されているオカヤドカリが小さい個体ばかりになっていることに、思い当たらないか。小さい個体をたくさん採った方が効率良く売れ、しかも珍しい色が捕獲できる可能性が高いんだ」
「そんなバカな。そんな悪魔みたいな業者が、本当にいるんですか」と、詠売新聞の記者。
「私の知る限り、この悪逆非道な、しかもむっちゃセコい詐欺紛い商法を行っている販売業者は、国内に3者いる。そのうち最も後発の1者が、明日、9月2日のFTV朝のワイドショー“おとくダネ!”で取り上げられるそうじゃねぇか。まさか天下の“おとくダネ!”が、いい加減な取材の末、この悪逆非道な業者を利するような報道を行い、我国の貴重な生き物の絶滅に拍車をかけるようなことをする訳はないだろうな」
 それまで他人事の様にニヤニヤ笑っていたフジコTVのプロデューサーの顔色が、サッと変わる。
「いや、これは課長さん、手厳しいですなぁ」
 会場が笑いに包まれた。
「このクソ野郎ども! 笑ってる場合じゃねぇぞ。キサマんとこの“おとくダネ!”がいい加減な報道をしてみろ。我国の未来は悲惨だぞ。判ってるんだろうな」
「もちろんですよ。ウチは何と言ってもバラエティのフジコTVですから…」
 また、会場に笑いが起きた。
「よーし! いい根性だ。明朝のキサマらの番組が楽しみだ。言っておくが注目しているのは、生き物に興味を持つ一般人だけじゃねぇぞ。ある意味では今回の衆院選よりも注目度が高いんだからな」
posted by プアマリナ at 20:40| 沖縄 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | デカ長:島 奥作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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